
代表取締役社長 野尻 剛二郎
プロフィール:慶應義塾大学経済学部卒業後、新卒で日興證券に入社。ロンドン駐在を経て外資系証券会社の機関投資家向け営業ヘッドポジションを務める。その後エグゼクティブサーチ分野に転じ、2008年にタイグロンパートナーズを創業。
Q.タイグロンパートナーズを設立しようと思った理由は何ですか?
人材マーケットに大きな可能性を感じて
私は約20年間、日系・外資系の証券会社でビジネスの最前線を経験した後、これからは転職マーケットが伸びるだろうと感じて42歳でキャリアチェンジしました。金融業界に特化した人材ビジネスならそれまでの知識やスキル、人脈を生かせると思ったんです。
そこでまずは、世界5大ヘッドハンティング会社の一つに入り、サーチについてゼロから学びました。その後、英国系のヘッドハンティングファームに誘われ、東京オフィスの立ち上げに代表として関わりました。しかしリーマンショックによって親会社がデフォルト(債務不履行)に陥ったため、私が株を買い取って当社を創業しました。
Q.御社が新卒採用を重視する理由は何ですか?
デジタルネイティブのスキルと意欲に期待
我が社も創業当初は外国人を含む即戦力のリサーチャーを採用し活動していました。個人情報保護が重視されるようになる中で、候補者の集客方法も変わっていき、総合受付から電話をかけることもやりにくくなる一方で、SNSを使った求人がどんどん発達していきました。そこから候補者を集客しようとすれば、どうしても若いうちからSNSに親しんでいるデジタルネイティブの力が必要になってきます。
また、スカウト業務を任せるにしても、やはり新卒社員の方はモチベーションは高い。「いつかコンサルタントになってやる」という気持ちがありますから。組織を作っていく上でも、新卒を育てていくことが大切だと思っています。
Q.御社はチームで協力して成果を出すことを企業バリューの一つに掲げていますね。
能力の高い個人がチームになって“面の効果”を発揮
大前提として、この業界は個人の能力が極めて重要です。けれど、いくら個人商店をかき集めても1+1=2でしかない。その限界を突破するにはチームワークが必要になってきます。
クライアントも候補者も、面でとらえていく必要があるのです。例えば、サバンナで獲物をつかまえるときに、一人で追いかけっこをしていれば1しか稼げません。ですが、皆で獲物を取り囲めば成功率が上がり、個人の取り分が1.5にも2にもなる。それを目指さなければ、会社・組織でやる意味がありません。
Q.社員研修をKAWARUKAに委託した理由は何ですか?
自由な社風だからこそ、新人の“勘違い”を防ぎたい
KAWARUKAの竹下さんには、報・連・相やクイックアクションなど、社会人としての基本を植え付けてもらうことを期待して依頼しました。
それまでの当社の新入社員研修といえば、名刺の渡し方といった基本的なことを1、2日で教える程度で、後の教育は直属の上司にあたる担当コンサルタントに任せていました。
しかし担当コンサルタントによってどうしてもバラつきが出てしまう。
また、当社はこの業界には珍しく社員に対してKPI(業務の計測・監視)を押し付けず、ひとまずボトムラインの結果だけは出してもらうというやり方をとっています。比較的自由に働けるので、コンサルタントにとっては非常にいい職場環境なんですが、それを見た新卒社員が「自分もそれでいいんだ」と勘違いしてしまうんですよね。例えば、先輩たちが定時に退社できるのも積み重ねた経験があって結果を出しているからなので、そうした認識を最初からしっかりと持ってもらいたいという狙いがありました。
従業員からの紹介でKAWARUKAの竹下さんとお会いし、「まずはやってみるか」と依頼を決めました。

Q.実際にKAWARUKAに研修を依頼してみていかがでしたか?
社会人としての基本を植え付けてくれて感謝
私も昭和62年に証券会社に入社してコテコテの営業からスタートしているので、竹下さんとは似たところがあるんですよ。今の時代ですから社内を昭和の体育会系みたいにしたくありませんが、新入社員に温(ぬる)まれても困るので、最初の入口で竹下さんがしっかり引き締めてくれるのはありがたいと思います。
新卒1、2年目の人たちに社会人としての基本や数字への執着心をしっかりと植え付けてくれているのは期待通りで、非常に感謝しています。研修後の彼らの挨拶や振る舞いなどを見ていると、意識が随分と変わったなと感じます。
Q.この業界で仕事をしていく上での野尻社長のポリシーを教えてください。
規制のない市場だからこそ、倫理観を高く
「顧客や候補者からファーストコールをもらえるような仕事をする」こと、そして「正しいことを正しく行うこと」ですね。
私が専門とする金融業界でいえば、基本的に金融庁が厳しく規制して消費者を守っています。けれど、人材業界では、厚生労働省が人材紹介業の会社に対して徹底的に監査をしたりすることは基本的にない。時には不正も起きてしまいます。だからこそ、我々自身が倫理観を高く持っていかなければならない。稼ぐためなら何をやってもいいというような人や会社は長続きしないと思います。
我々が正しいことを正しく行っていれば、結果的にクライアントからも候補者からも信頼を勝ち取ることができます。
中途採用の場合も、倫理観がしっかりした人を採るように心がけてはいますが、そうしたものを後から学んでもらうことは難しい。そういった面でも新卒教育が重要になってきます。
竹下さんには、そうした当社の理念をしっかり社員たちに浸透させてくれていると感じています。

Q.御社の目標を教えてください。
ビジネス社会の最強のカタリストを目指して
私たちのビジョンは「最も信頼され尊敬されるエグゼクティブサーチファームとして、企業/個人の成長を加速させ、ビジネス社会の最強のカタリストとなる」ことです。
ミッションは、「アナログ+デジタルを融合したハイブリッド人材プラットフォームとして、圧倒的なスピードと絶対的なクウォリティを兼ね備えたプロフェッショナルサービスを提供する」ことです。
バリューは、
・Collaboration チームで協力して成果を出す
・Mutual Respect 多様性を許容し、相手の長所/短所を認めあう
・Transparency 透明性を高め、情報共有を徹底する
・Ethics高いレベルの倫理観をもつ
目指しているプレゼンスは規模よりも強さです。
目標の企業規模としては、各分野でのトップコンサルタントが集まった50人程度の精鋭集団を目指しています。
Q.最後にKAWARUKAへの今後の期待をお願いします。
新卒教育は会社永続のための基本
我々のような規模の会社がコストを投じて新入研修を導入する意味は、企業が永続するためにもいつか新卒社員が会社の柱として育ってほしいという願いがあるからです。これからもKAWARUKAの研修には期待しています。